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柳原病院医師わいせつ逮捕起訴!「術後せん妄」による幻覚や錯覚って?

今年5月に東京足立区にある柳原病院で全身麻酔のもと乳腺摘出手術をうけた30代女性が、術後医師にわいせつ行為を受けたとして警察に被害届を提出し、8月25日に医師が逮捕されました。

そして、3か月経った現在も医師は拘留中であるとのことです。

逮捕から3か月、初公判が今月11月30日に行われる予定です。

今回の事件は、被害者と病院側の意見が真っ向から対立。

被害者は、術後医師からわいせつ行為を受けたと主張し、
病院側はそれを否定、術後せん妄状態の中で麻酔による幻覚作用だったと反論しています。

『術後せん妄』とはどういう状態なのでしょうか?
事件の経緯も含めて振り返りたいと思います。

「術後せん妄」による幻覚や錯覚

報道をまとめてみます。

報道まとめ

柳原病院

東京都足立区
1951年開設、1968年病院化、1998年現在地に新築移転
病床数85
診療科(内科、外科、整形外科、泌尿器科、婦人科、胃腸内科、脳外科、大腸・こう門外科、
内視鏡科、乳腺外来、リハビリテーション科、じん肺・アスベスト外来、人間ドック)

乳腺外来手術実績(HP参照)
2011年 119
2012年 108
2013年 101
2014年 68(4~12月)

事件の経緯

  • 被害者女性A氏は30代。
  • 容疑者とされるB医師は40代柳原病院では非常勤医師として勤務していた。
  • B医師は6年前より自身が勤務するクリニックにおいてA氏を担当していた。
  • 手術は5月10日、通報は同日、容疑者逮捕は8月25日
  • 容疑者の訴え「全身麻酔から覚めたばかりで身動きがとれないA氏の診察を装い、胸をなめ、胸を見ながら自慰行為をした」
  • A氏の会社上司が110番、その後A氏が被害届を提出した
  • A氏の体からB医師の唾液を検出→FNNのみが報道
  • B医師は否認

病院側の声明

  • 5月10日16時ごろA氏が友人を通じて警察へ通報
  • 同日通報により千住警察署員が来院し現場検証を行った
  • 病院側も独自でA氏に関わった職員より状況を確認、現場検証を行った
  • 6月9日診療記録を警察署へ提出
  • 7月7日病院側内部調査によりわいせつ行為が無かったと判断、捜査を終了するよう求める申入書を提出
  • 7月7日以降警察からの問い合わせ等なく、8月25日にB氏逮捕
  • A氏の術後の供述は、全身麻酔による手術後35分以内のことであり、手術前の恐怖や不安と全身麻酔で行った手術後せん妄状態での幻覚や錯覚が織り交ざったものと確信する

A氏は満床の4人部屋におり、術後の経過観察に看護師が頻回に訪れるといった多くの目があるなかでA氏の供述通りの行為が行わることは考えられない

  • これの病院側の抗議文を見る限りでは、術後35分の間にわいせつ行為が行われた可能性は極めて低い、というか無理でしょ。

    では、術後のせん妄について

    術後のせん妄

    ウィキペディアによると、以下のようにあります。

    せん妄(せんもう、譫妄、delirium)は、意識混濁に加えて幻覚や錯覚が見られるような状態。健康な人でも寝ている人を強引に起こすと同じ症状を起こす。ICUやCCUで管理されている患者によく起こる。

    術後せん妄の原因

  • 手術に伴う不安や恐怖
  • 麻酔に使用する薬剤
  • 環境の変化
  • 術後せん妄症状

  • 起こり方が急激である
  • 症状が一日の内で変化しやすい
  • 一過性、短時間で消失
  • 感覚障害(不安感、無感情、多幸感)
  • 睡眠障害(不眠・昼夜逆転など)
  • 精神運動障害(興奮・妄想・幻覚など)
  • これらから判断すると、

    全身麻酔下で手術をうけたA氏が術後せん妄状態であった可能性は高い

    術後35分間にわいせつ行為は可能か?

    無理です!
    ここからは私の意見を述べさせて頂きます。

    私は、5年間手術室看護師として勤務していましたが、術後暴れる患者さんも珍しくなく、特に麻酔覚醒直後は意識がもうろうとする中で脱抑制状態となり(理性外れる)患者さんが意外な発言(エロ発言)をされることも印象に残っています。

    術後せん妄で検索すると多くの文献が出てくることからも、術後のせん妄が珍しくないことを証明しています。

    麻酔後の反応はそれこそ個人差が大きいですし、
    それだけに術後は頻回に観察が必要となります。

    全身麻酔による術後35分間に看護師が訪れないということは100%あり得ません。
    看護師実習の時は術後5分後、10分後とバイタル測定(血圧・脈拍・体温)がありました。

    柳原病院が術後どのぐらいの間隔で観察されていたかは明らかになっていはいませんが、普通に考えても、いつ看護師がきてもおかしくない病室において、しかも4人部屋カーテン1枚挟んだ向こうには他の患者がいるわけで、だいたい同室者の動向は気になるものでみんな人の出入りに注目しているはず。

    術後って本当にやることが多くて、みんなバタバタしてて、それぞれに人が動く。

    だからわいせつ行為って考えられない!

    しかも唾液って何ですか?
    FNNしか報じてませんが。

    保釈署名2万人

    医師側は逮捕の不当を訴え続けています。

    東京保険医協会は拘留中の医師の早期釈放を求める嘆願書を10月に発表しました。

    そして、早期釈放を求める「外科医師を守る会」も署名活動を続け、10月20日に全国の医師や看護師など医療関係者約2万人の署名を集め、東京地裁に提出しました。

    柳原病院にも手紙や直接激励に来る医療関係者が続出しているそうです。

    医師が次々に署名しているのは他人事ではないことを証明しています。

    「署名者の中には『私も同じような目に遭った』という医師もいます。麻酔による患者の幻覚作用で、勘違いのクレームをつけられた医師は他にもたくさんいるのです。ちゃんとした証拠もなく、有罪判決が下されれば、誰も外科医になりたがらないですよ。他人事じゃないんです」(東京保険医協会関係者)

    まとめ

    警察の現場検証と、A氏の証言のみで逮捕としたのであれば、本当に不当としか言いようがない!

    医師がわいせつ行為を行ってはいないと仮定して、このような事件を起こさない為には、術後の患者訪問は必ず2名以上で対応するなどの対応策が必要になってくるかもしれませんね。

    今月30日の初公判は全国の外科医が注目しているはずです。

    どう考えても不当な逮捕、起訴、長引く拘留に、検察にたいする疑問と嫌悪感しかありません。

    早く事実が明らかになってほしいと願います。

    ここまでお読みいただきありがとうございます。

    あなたに届けるピンフルエンサー!

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