インドの最高裁判所は2018年9月6日、同性同士の性行為を違法としない判決を下しました。
イギリス植民地時代から存続する刑法第377条で同性間の性行為は「不自然な違法行為」とされており、2013年にはこれを支持する判決が出ていました。
判決が出ると、最高裁前に集まっていた活動家たちからは喝采が起き、涙を流す人もいました。
ディパク・マルホトラ判事は性的少数者(LGBT)を排除してきたことについて謝罪する必要がある」と感じていると話しました。
昨今ではLGBTに対する偏見や差別を疑問視する声が大きくなってきましたね!SNSを通じて個人の意見が世界に届きやすいようになった恩恵でもあると思います。
しかし実はまだ同性愛を死刑とする国があることは事実です。
そもそもなぜ同性愛に対して有罪である風潮があるのか、宗教を中心に調べてみました。
キリスト教から見た同性愛は性的逸脱?
まず刑法が制定された時、インドはイギリスの植民地でしたのでキリスト教から見て見たいと思います。
新約聖書のパウロ書簡では、偶像崇拝や婚前性交渉、魔術や占いをする者と共に「男色する者」は神の国相続しないと第一コリント6章9-10節にあります。当時この流れを受け、キリスト教の影響を受けた欧米諸国では宗教上の罪とされてきました。
しかし、近年では同性愛も異性愛と同様生まれつきの性的指向であり、不当な扱いをされる出来ではないという認識が広まっています。
ただし2009年11月20日にアメリカ合衆国のキリスト教の教派を超えた指導者152名(発表前日時点)が署名したマンハッタン宣言が発表されています。この宣言は同性結婚、人工妊娠中絶、胚性幹細胞研究、安楽死への反対をうたい、その容認を余儀なくさせる法制度には従わない、という内容です。
ヒンドゥー教から見た同性愛は?
次に現在インドで信者が5億人いるとされるヒンドゥー教について調べてみました。
同性愛者やLGBT(性的少数者)について、ヒンドゥー教では罰則の対象であり、罰金であったり、カーストの追放などの処置が取られることがあります。
そもそも同性愛以前に、親同士が話し合って子供の結婚を取りきめる習わしが大勢を占めているそうで、インドで本人同士の自由意思で結婚すること自体が長らく禁忌とされていたようです。
インドでは慣習的に2000近くに枝分かれした「ジャーティ」(近代以前の職能集団グループが形式的に身分化したもの)の枠内で結婚相手を見つけるのが望ましいとされているので、まず自由結婚への認識も変化していっている状況と言えますね。
イスラム教でも同性愛はタブー?同性愛禁止の国には死刑の国も
最後にイスラム教では教義上、同性愛は禁じられていますがキリスト教ほど厳しく適用はされていなかったそうです。むしろイスラム世界では少年愛(9世紀以後19世紀半ば、イスラーム文化の広範かつ特徴的な要素でした)などの歴史が残っているように、同性愛に比較的寛容でした。
しかし、20世紀以降イスラム原理主義の勃興で同性愛に対し非常に厳しくなり、イスラム教の開祖ムハンマドやアリーが同性愛者を処刑したハーディス(伝承)に基づいたイスラーム法の同性愛者処刑規定をそのまま国法としている国もあるそうです。
イラン・サウジアラビアでは死刑、エジプトでは迫害、度々摘発と逮捕が行われています。その一方、トルコやヨルダン、イラク戦争以降のイラクでは同性愛は合法化されています。
まだまだ残る同性愛への差別・・・でも確実に自由恋愛が認められてきている!!
いかがでしたか?
今回は宗教に着目して同性愛に対しての視点をまとめてみました。ちなみに仏教では、男同士で性行為をしたものは多苦悩処(たくのうしょ)という地獄に落ちるとのことで禁忌とされていますが、日本は比較的昔から男色文化がありますよね。
国際レズビアン・ゲイ協会では2015年に「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルに関連する世界の法律」についてワールドップを作成しました。
地図を見ても今尚、有罪とする国が多いですね・・・赤い色はイスラム圏である中東を中心にして存在しています。
ここからは本当に筆者の個人的な意見ですが、「LGBTが認められた!」ということがニュースになる時点で、未だに潜在的にLGBTに対して差別というか何らかの線引きが社会に存在しているんですよね。
早くこういうLGBTという単語すらなくなって、当たり前の価値観として、ありとあらゆる人が自由に恋愛できる世の中になればいいなと思います*