アトピー性皮膚炎の治療に使われる保湿塗り薬「ヒルドイド」。
私の子供もアトピーと先生にはっきりと言われたわけではありませんが、0歳の頃から皮膚の乾燥がひどく処方されています。
そのヒルドイドが美容目的で使用され、国の医療費を押し上げている事実があることが発覚しました。
きっかけとなったのはとある美容整形外科院長のブログ。
10年前のブログ記事の「3万円の高級乳液より効果がある」が一人歩きしてしまったようです。
その院長がこの度新聞社のインタビューに当時そのような記事を書いた理由について語りました。
札幌美容形成外科院長のブログ記事
このヒルドイドローション、実は乳液の代わりに顔に塗るとお肌がツルツル・スベスベになります。私の正直な感想を言うと、3万円の高級乳液より効果があると思います。
化粧品はどんなに高価な製品でも、薬事法という法律で入れてもいい成分が決められています。ですから、厳密に言うと外国製の高級化粧品でも、海外の免税品店で売っている商品と日本国内の商品は内容が異なる場合があります。
がっかりするかも知れませんが、化粧品は夢を売る商品です。デパートの一階の一番立派な売り場でキレイなお姉さんが売っているので高いのです。中身の化学成分を価格に換算すると1/100の価値しかないと言われる製品もあります。
逆に病院で処方する医薬品は医師免許や薬剤師免許がないと売れない製品もあります。化粧品とは入れてもよい成分が各段に違います。
まれにお肌に合わない方もいらっしゃいますので、ご心配でしたら耳の後ろなど目立たない場所で一度試してからお顔につけてみてください。
ヒルドイドローションは保険医薬品なので、皮膚科や形成外科の他、内科などで他のお薬と一緒にいただくことも可能です。是非一度試してみてください。
【http://s-bi.com/wp_diary/kou/2007/02/12/post-542.htmlより引用】
この記事は2012年2月12日に書かれました。
使い方や購入方法について言及
記事の内容をまとめると、
- 実は乳液の代わりに顔に塗るとお肌がツルツル・スベスベになる
- 3万円の高級乳液より効果があると思う
- どんな高価な化粧品も日本国内の商品は内容がことなる場合がある
- 化学成分を価格に換算すると1/100の価値しかないと言われる製品もある
- 病院で処方する医薬品は、化粧人とは入れても良い成分が格段に違う
- 保険医薬品なので皮膚科や形成外科の他、内科などで他のお薬と一緒にいただくことも可能
内容をみると、使い方や購入方法について言及してあり、やはり美容目的として推奨しているように捉えかねない印象を受けます。
ヒルドイドを美容目的に使用したせいで押し上げられた医療費
病院で処方される薬の費用は、自己負担分と保険負担分に分けられます。
一般成人の場合、3割負担で良いことになります。
ヒルドイドの場合、1gあたり23.7円なので、
25gで592円
保険が適応されると3割負担で177円です。
ちなみに、ヒルドイドクリーム、軟膏、ローションすべて1g23.7円です。
1本170円で手に入るのであれば、皆がこぞって購入を希望するのは当然の流れですね。
そして問題なのは残りの7割が保険料で支払われると言うことです。
集計によると、年間93億円がヒルドイドの美容目的により無駄に支出されている可能性があるそうです。
健保連はこの度ヒルドイドの使用調査を行いました。
ヒルドイドの使用調査
対象:
ヒルドイドの単独処方
期間:
2015年10月から2016年9月の1年間
対象年齢:
20〜59歳
調査結果
男性が3万9312件だったのに対し、女性は16万4377件と4.2倍。
前年同期と比べると、女性は17.3%増えており、男性の増加率7.9%を大幅に上回った。
25~29歳では女性の増加件数が男性の33.9倍に上った。
多くは病名が「皮膚の乾燥」のみで、健保連は「美容目的の使用が増えていると考えられる」と分析する。
【http://s-bi.com/wp_diary/kou/2017/10/30/post-54454.htmlより引用】
アトピー性皮膚炎と診断されなくても「皮膚の乾燥」のみで処方されていた実態が浮き彫りになりましたね。
きっかけの多くは札幌美容整形外科院長のブログであることが指摘されいるようです。
札幌美容形成外科院長の弁解
「不適切だと言われても仕方ないが、当時は手先がひび割れで、出血して困っている人に勧める趣旨で書いた」
「効果を実感したのは事実だが、肌に合わない人もいる」と注意を促したと弁解されています。
厚生労働省の検討
厚労省は1回の処方量の制限や、単独処方を保険適用外にすることなどを検討していくとしています。
ヒルドイドを使用している芸能人
中村アンさん、梨花さんが愛用者といわれています。
気になるヒルドイドの副作用は?
添付文書参照
禁忌内容とその理由
(1)出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病等)のある患者〔血液凝固抑制作用を有し、
出血を助長するおそれがある〕
(2)僅少な出血でも重大な結果を来すことが予想される患者〔血液凝固抑制作用を有し、出血を
助長するおそれがある〕
ヒルドイド副作用
0.1〜5%未満で、皮膚炎、かゆみ、発赤、発疹、潮紅などの副作用報告されています。
頻度不明で、皮膚刺激感、紫斑が報告されています。
まとめ
ヒルドイドが話題になっています。
看護師の友人は、「美容成分は含まれていないので、保湿だけ」と美容効果については否定していました。
保湿が高いものであれば、ワセリンをはじめ他にもたくさんあります。
今回の問題では本来処方されるべき人がこれまで通りに使用できなくなることが危惧されるところです。
とあるブログにたんを欲したヒルドイド問題。
履歴に残るコメントには注意が必要ですね。
特に医師のような影響力のある人は責任ある発言が今後一層強く求められることになりそうです。