口唇口蓋裂は生まれつきの疾患(先天性異常)のひとつで、口唇裂と口蓋裂の二つの総称を言います。
日本人の約500人〜700人に1人の頻度で発生し、先天異常の中では心室中隔欠損に次いで発生率の高い疾患の一つです。
現在は医療技術の進歩により、何度か手術を行うことで、美容面においても綺麗に治すことができるようになりました。
今回は口唇口蓋裂の原因について、遺伝の関連性について、また口唇口蓋裂の芸能人についてご紹介したいと思います。
口唇口蓋裂とは?
口唇裂は上唇が、口蓋裂は上顎が離開し披裂を生じて出生する病気ですが、口唇裂だけのこともあれば口蓋裂だけのこともあり、また両方一緒におこる口唇口蓋裂も少なくありません。
また、口唇裂、口蓋裂ともに不完全型と完全型、片側性の場合と両側性の場合があります。
【日本産婦人科学会HPより引用】
原因と発生機序
原因の多くは不明とされています。
日本口腔外科学会によると、口唇口蓋裂の7割が原因不明としています。
現在考えられている原因として上がっているのが、
- 妊娠初期に胎児に異常な圧力が加わる
- 母体の栄養障害や精神的ストレス
- 副腎皮質ステロイド薬
- 鎮痛薬などの催奇形性薬剤
- 風疹
- 放射線照射
- 喫煙
など
喫煙が口唇口蓋裂の発生に深く関与
最近の米国の研究で、タバコの煙の解毒に関する特定の遺伝子を持っていない胎児は、妊婦の喫煙により口唇口蓋裂を持って生まれる可能性がかなり高まることが報告されています。
特にアジアの新生児の60%がこの解毒遺伝子を有していないとみられており、遺伝子を保有しない胎児の母親がタバコを毎日15本以上吸うと、口唇口蓋裂を発生する確率が20倍近く増えると報告されています。
【厚生労働省e-ヘルスネット参照】
発生機序
胎児が母親のお腹の中で成長していく過程において、顔は左右から伸びるいくつかの突起が融合することで形作られていきます。
顔や口蓋が形成されるのは妊娠7〜12週の頃で、この頃に何らかの原因によって融合がうまくいかないと、その部分に裂け目が残り、結果として口唇裂や口蓋裂が発生します。
遺伝なの?
遺伝かどうかは多くの人の関心事となっていますが、遺伝が関係する可能性は高いとされています。
Wikipediaによると、日本で8.7%から16.0%の関与が報告されているとのことです。
また、家系内発生率は、一般発生率の10倍以上と報告されているものもあります。
ただ、なんども言いますが、発生の多くは不明とされています。
症状
- 審美的な障害
- 哺乳や摂食障害
- 発音障害
合併症
また合併症としては、
- 手足や耳の形態異常
- ヘルニア
- 心臓の形態異常
治療
出生直後から成人するまでに長期にわたる治療が必要となります。
口唇口蓋裂の程度にもよりますが、
口腔外科、矯正歯科、小児歯科、形成外科、耳鼻咽喉科、小児科、言語治療科、一般歯科などによる総合治療が必要となってきます。
口唇裂を閉鎖する手術は、生後3〜4ヶ月で体重6kgが目安とされています。
口唇口蓋裂の芸能人について
上戸彩さんや斎藤工さんがなぜか検索にあがっていますが、これは噂にすぎない印象です。
有名人としては、2009年にお亡くなりになった元衆議院議員の中川昭一さんがあげられます。
まとめ
口唇口蓋裂の原因について、遺伝や喫煙との関連についてご紹介しました。
妊娠すると定期的に超音波検査を実施しますが、口唇口蓋裂はその際に偶然発見されることがあります。
しかし、超音波検査でもわからない症例も少なからずあると報告されています。
はじめに申し上げましたが、現在は本当にきれいに治すことができるようになっています。
医療技術の進歩にますます期待がかかりますね。
ここまでお読みいただきありがとうございます。