昨年2月に朝日新聞の「売却が格安だった」と報道されたことにより問題が世間に知れ渡ることとなった、学校法人「森友学園」の国有地売却をめぐる問題。
約1年たち、ここへきて急展開を繰り広げています。
3月2日に朝日新聞は、決裁文書が「書き換えられた可能性がある」と報道。
3月9日に近畿財務局の男性職員が神戸市の自宅で自殺。同日佐川宣寿国税庁長官が辞任。
3月10日財務省は、森友文書の書き換えを認め方針を示す。
3月12日財務省が森友学園への国有地売却をめぐる決済文書で「書き換えがあった」と報道
自殺された男性は遺書を残していたと報じられています。
恐らく、遺書に記載されていた内容をみて、財務省が書き換えを認めたのではないかと推測されます。
では、書き換えたのは誰?
書き換えられた内容は?
なぜ書き換えたの?
誰の名前が書かれてあったの?
理財局とは?
これらについてまとめました。
書き換えられた文書
3月12日財務省は文書の書き換えがあったことを認める調査結果を発表しました。
書き換えは14つの文書で数十か所のぼります。
書き換え前の文書には、2017年7月31日に補助金不正受給事件で妻と逮捕された、森友学園の籠池泰典前理事長とのやり取りが書かれていました。
また、安倍総理の妻昭恵夫人や複数の政治家の名前もありましたが、書き換えの際に削除されたとみられています。
書き換えられた文書
3月12日財務省は決済文書についての調査の結果を発表しました。
決済文書についての調査の結果
昨年2月に本件が国会で取り上げられて以降、昨年2月下旬から4月にかけて、財務省理財局において、下記の決裁文書について、書き換えが行われていたことを確認した。
- 貸付決議書(平成27年4月28日、5月27日)
- 売払決議書(平成28年6月14日)
- 特例承認の決済文書(平成27年2月4日、4月30日)
このほか、主として上記の決裁文書の書き換えの内容を反映するかたちで、残り9件の決裁文書の書き換えが行われており、計14の決裁文書について書き換えが行われているのを確認した。
- 承諾書の提出について(平成26年6月30日)
- 未利用国有地の処分等の相手方の決裁通知について(平成27年2月20日)
- 予定価格の決定について(年額貸付料(定期借地))(平成27年4月27日)
- 特別会計所属普通財産の処理方針の決定について(平成27年4月28日)
- 有益費支払いに関する意見について(照会)(平成28年2月25日)
- 有益費支払いに関する三者合意書の締結について(平成28年3月29日)
- 国有財産の鑑定評価委託業務について(平成28年4月14日)
- 予定価格の決定(売払価格)及び相手方への価格通知について(平成28年5月31日)
- 特別会計所属管轄普通財産の処理方針の決定について(平成28年6月14日)
【財務省「決済文書についての調査の結果」より】
消された文書一例
H26.4.28
近畿財務局から森友学園に対し、資料提出を速やかに行うよう要請したところ、森友学園から(1)当初計画していた本年7月の大阪府立審議会への諮問を本年12月に変更したいので、その前提で対応してほしいとの要望とともに、(2)豊中市との開発協議を急ぐ必要があるため、大阪府が小学校新設に係る設置計画書を受理した段階で、近畿財務局から豊中市に「森友学園との本財産の契約を締結することを証する」旨の文書を提出してもらいたいとの要望あり。
なお、打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が並んで写っている写真を提示) 。
【https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/12/mof-abe_a_23382983/】
近畿財務局と森友学園との打ち合わせについて言及した部分が削除されていました。
名前が消された国会議員リスト
以下は消された国会議員たちです。
鴻池祥肇・参院議員(自民党)
2013年8月13日の欄で、「鴻池祥肇議員●●秘書から近畿局へ照会(受電)。
籠池理事長が、本件土地について購入するまでの間、貸付けを受けることを希望しており、大阪航空局に直接相談したいとの要請を受ける」と記されていた。決裁文書の冒頭「本件は、平成25年8月、鴻池祥肇議員(参・自・兵庫)から近畿局への陳情案件」と記されていた。
安倍昭恵氏(安倍晋三首相の妻)
「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が並んで写っている写真を提示)
この時の写真がこちらと言われています。
北川イッセイ元参院議員
北川氏は当時国土交通省副大臣を務めておられました。
2015年1月15日、森友学園が北川氏の秘書に「近畿財務局から示された概算貸付料が高額であり、副大臣に面会したい」と要請した、と記載。国交省側は貸付料は近畿財務局が決めることとして、「面会しても意味はなさない」と回答したことが記されていました。
平沼赳夫元衆院議員
2015年1月29日、平沼氏の当時の秘書が財務省に「近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか」と相談したことが記されていました。
財務省側は、「法律に基づき適正な時価を算出する必要があるため、価格についてはどうにもならないこと、本件については学校の設立趣旨を理解し、これまで出来るだけの支援をしていること」と回答したことが記されていました。
鳩山邦夫元衆院議員
2015年2月17日、鳩山氏の秘書が近畿財務局を訪れ、「近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか」と相談。
財務局側は、平沼氏の秘書へ説明したのと同様の内容を伝えたことが記されていました。
麻生太郎財務大臣(自民党)
麻生氏は本件に対し直接的な接触はないようですが、消された文書の中に麻生氏の名前もありました。
森友学園の概要説明の中で、麻生氏が日本会議国会議員懇談会の特別顧問を務めていることを記載。籠池氏が日本会議大阪の代表を務めていることを説明した際に、関連付けとして書き添えたものと考えられます。
安倍晋三首相(自民党)
安倍総理も麻生氏同様に直接的な関わりについて記載されていたわけではありません。
日本会議の国会議員懇談会副会長を務めていることが記されていました。
中山成彬・衆院議員(希望の党)
森友学園の概要説明の中で、学園で講演したことがあると記されていました。
三木圭恵・前衆院議員
杉田水脈・衆院議員(自民党)
上西小百合・元衆院議員
森友学園の概要説明の中で、学園を視察したことが記されていました。
書き換えたのは誰?
では、書き換えたのは一体誰なのか?
麻生財務相は記者会見の中で、
文書は同省理財局の一部の職員によって、当時理財局長を務めていた佐川宣寿氏の国会答弁に合わせる形で書き換えられたと説明。
【https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/12/taro-aso_a_23383005/】
「佐川の(国会での)答弁と決裁文書の間に齟齬があった、誤解を招くということで佐川の答弁に合わせて書き換えられたのが事実だと思います」
問題をめぐっては、誰が、いつ、どんな動機で文書の書き換えを指示したのかはっきりしていない。【www.huffingtonpost.jp】
書き換えられた時期について麻生太郎財務相は、
「(一連の報道がなされてから書き換えがされたという)認識はない」
あくまでも、佐川氏の国会答弁に合わせる形で書き換えがなされたことを主張。
そこで当然わいてくる疑問は、佐川氏は国会で「価格を提示したこともないし、いくらで買いたいと希望があったこともない」などと答弁をされていたわけだから、答弁に合わせて書き換えるのはおかしい。変ではないか?と記者が指摘すると。
麻生太郎財務相は、
「変だから処罰されたんだ。それによって佐川が減給の上で辞めるということになったんでしょう」
と。
書き換えの責任者については、
「書き換えの一番トップはその時の担当者で、そんなに偉いところではないと思う。最終的な決裁として、佐川が理財局長だったから、その意味で理財局長となろうと思う」
調査はまだ完了していませんが、麻生氏は現時点では、書き換えを直接指示したのは佐川氏の前の段階ではないかとする見方をされているようです。
理財局とは?
ところで理財局って?
理財局(りざいきょく)は、日本の中央官庁である財務省の内部部局の一つである。 国債、財政投融資、国有財産などの管理を主な業務としている。【Wikipediaより】
問題の国有地の持ち主は「国土交通省大阪航空局」でした。
国有地などの国有財産を売ったり買ったり、管理するのが「財務省理財局」のお仕事です。
総務課、国庫課、国債企画課、国際業務課、財政投融資総括課、国有財産企画課、国有財産調整課、国有財産業務課、管理課の計9課が配置され約360人の職員が働いているということです。
理財局の仕事
国有財産の有効活用方策を検討し、必要な調整を行うほか、国家公務員宿舎の管理、国の出資や政府保有株式の売却等に関する事務を行っている【財務省サイト】
この局長が当時佐川氏だったということで、辞任することになりました。
森友学園国有地売却の経緯
問題の国有地は、財務省の地方機関である近畿財務局が2015年3年6月~9月に公募し売却先を募りました。
森友学園は2015年、近畿財務局に貸し付けを希望。適切な売り手かどうかを検討する「国有財産近畿地方審議会」において、財務面が不安視される学校法人に国有地を提供することに異論が噴出、しかし近畿財務局は2月に「買い受け特約付きの定期借地契約」で「認可適当」とされ5月に契約を締結しました。
2016年3月、借地での契約後、小学校建設工事中に新たなゴミが出てきたと学園が国に連絡。
「国のゴミ撤去を待っていては開校できない」と一転して借地契約から購入に変更を要望。翌月土地価格9億5600万円と査定、6月に1億3400万円で売却されました。
学園は金額を表示しないよう近畿財務局に要望、財務局もこれに応じました。
この経緯を豊中市議と朝日新聞が追求して公けになりました。
今後
まず、最も気になるのが安倍昭恵さんが、直接関与していたかどうかということ。
消された文書に数名の議員の名前が上がっており、籠池氏が売却額を下げようあちこちに手を回していたことは明らかです。
『いい土地ですから、前に進めてください』という言葉を頂いた。
これは森友学園側から説明されたものなので、本当にこのようなことを言ったのか?またどのような主旨だったのか、まで読み取ることはできません。
昭恵さんの証人喚問を野党は求めていますが、これは今や国民皆が思っていることのような気がします。
昭恵さんとの関係を明らかにし、売却額引き下げの全容を明らかにしてほしいと思います。