キャラクター

サノスの正義の魅力・・・宇宙の救済と終末思想

※この記事は「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のネタバレを含みます。

※※またこのコラムは後半、宗教に触れている部分があります。宗教への解釈が甘い部分があるかもしれませんがご了承ください。

現在、「アントマン&ワスプ」が劇場にて絶賛公開中であることに加え、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」もMovieNEXが発売されました。

マーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)も第20作品目まで公開されており、個々の作品の完成度だけでなくマーベルが提供する世界観がより一層厚みが出てきていますね。

さて「インフィニティ・ウォー」ではMCU最強の敵サノスがアベンジャーズたちの前に圧倒的存在として立ちはだかっています。

あらすじに関しては以前の記事でまとめておりますので、そちらもよろしければご覧ください。(また今後の展望についても予想しております!)

しかし、サノスはただただ凶悪な存在というわけではないと思います。むしろサノスは自分の信念に向かって行動し、目的を全うした「できるヤツ」です。

今回はサノスの魅力について徹底解析したいと思います。

「インフィニティ・ウォー」の主役はアイアンマンでもソーでもなくサノスだった

マーベルヒーローへの共感が強い観客にとって、サノスはとても強靭で圧倒的な強さを見せつけられた最凶の敵という印象が強いですね!

しかし、この映画を一言で表すと「サノスが全宇宙に散らばったインフィニティ・ストーンを、様々なヒーロー達に邪魔されながら、大切な部下や娘を失いつつも全て集め、願い事を叶えてもらった」物語です。この話の主人公はアイアンマンでもソーでもヴィジョンでもキャプテン・アメリカでもなく、サノスただ一人です。

今回「インフィニティ・ウォー」には今まで18作品の中で積み上げてきたキャラクターたちが大勢参加し、サノスの野望を食い止めようとします。

 

サノスが殺戮を繰り返すのは理由は宇宙規模の「救済」の為

サノスが義理の娘であるガモーラに、自らの志を打ち明けるシーンがあります。サノスは過去に、人口が増えすぎて崩壊寸前だった、ガモーラの故郷の星の半分もの生命を滅ぼしていました。

「宇宙も資源も限りがある。命に歯止めをかけねばいずれ滅びる。修正が必要だ」と自らの志を語るサノスは、彼なりの正義や信念に基づいて行動していていることがわかります。

ガモーラの故郷も人口が半数に減ったことで、貧困がなくなったようでした。

しかも殺戮する際のポリシーは身分、性別関係なく公平に実行していることです。サノスは何よりも公平性を大切にしていました。惑星を渡り歩き、いきなり人口を半減させるよう殺戮を繰り返す姿は狂気に満ちているように感じます。

しかし、個々の存在に囚われずに宇宙全体として見たとき、サノスの考える正義は説得力があるようにも思えます。

ガモーラに対する愛情や部下への労わりなど

義理の娘であるガモーラに対して執着を見せる姿も、最凶最悪とは言い難い姿です。結局ソウル・ストーンを手にする際、代償としてガモーラを自らの手で崖から突き落とし殺害しましたがその時サノスは涙を流していました。

サノスの元からガモーラが逃亡したあとでも、彼は気にかけていたと話している姿もあります。まるで血の繋がりのある親子と言っても差し支えないほどの感情ですね。

またサノスに忠誠を誓っていた部下のエボニー・マウが死んだことがわかったとき、悲しげな表情で彼の死を悼んでいました。今まで殺戮を繰り返してきた彼の表情とは思えないほど感情が込められているシーンです。

故郷が滅びていく姿に絶望し、宇宙の均衡を保つことに信念を燃やすようになる

アイアンマンたちとの戦闘の舞台となった惑星タイタンはサノスの故郷でもありました。リアリティ・ストーンの力によってサノスが見せた幻影では、緑豊かで平和そのものの星でした。しかし、資源不足によりタイタンの滅亡を阻止できなかったことを悔やんでいました。そしてその一件から宇宙のバランスを取ることを決意したとサノスはドクター・ストレンジに語っていました。

彼自身の中で個々の平和よりも宇宙全体の均衡が重視されるようになった大きな理由だったんですね。

サノスの最後のシーン・・・達成感に満ちた表情

サノスが指パッチンしたあと、オレンジ色の空間で幼少期のガモーラに「何を犠牲にしたの?」と問いかけられるシーンがあります。サノスは悲痛な表情で「全てだ」と答えたあと、ガントレットの力でどこか別の緑豊かな惑星に飛ばされます。

黒焦げのガントレットを身につけ、牧歌的な風景を前にサノスは達成感に満ちた表情を見せ、映画は終わります。

まるで仕事で長期プロジェクトを終えたお父さんサラリーマンのような姿に思わず「お疲れ」と声をかけたくなりました(笑)

サノスをよりリアルに描くことができたのは俳優ジョシュ・ブローリンのおかげ!メイキング映像からわかる製作陣の声

 

引用:youtubeチャンネル「moviecollectionjp
メイキング映像ではこのサノスの複雑な役柄はサノス役のジョシュ・ブローリンさんのおかげで表現できた、と語っています。

「ジョシュがサノスに命を吹き込んだ」と製作のケヴィン・ファギさんが答えていました。また監督のルッソ兄弟も「複雑だが共感できる内面を見せることでサノスを描きたかった。演じきれる役者はあまりいない。ジョシュは役に現実味を持たせた」と表現しています。

サノスは「終末論」信者?

さてサノスが実行した計画の目的「宇宙の救済」、この考えがすんなりと理解できる理由に宗教における「終末論」という考えに似ていると感じました。

終末論:社会が政治的、経済的に不安定で人々が困窮に苦しむような時代に、その困窮の原因や帰趨を、神や絶対者の審判や未来での救済に求めようとするのは、どこの文化でも宗教一般に見られ、ユダヤ教からキリスト教、イスラム教、ゾロアスター教といった一神教においてのみならず、仏教などの宗教などにおいても同様の考え方がある。しかし、終末ということの基準を、個々人の死の意味ではなく、民全体にとっての最後のとき、民全体に対する最後の審判と義人選別救済のとき、とするならば、終末論は本質的に一神教のものである。引用:ウィキペディア

資源の枯渇、貧困、戦争・・・社会の不安定さを一旦リセットして、元の均衡に正そうとする終末論の考え方にサノスの思想との共通点は多いと思いませんか?

宗教によってはさらに選民思想が追加されることもありますが、サノスは公平性を重視しているのでそこは異なりますね。

映画では、「指パッチン」後については詳しくは説明がありませんでした。

詳細は2019年公開予定「アベンジャーズ4(仮)」で明らかになりますね!

今から公開が待ち遠しいです。



Top